カトマンズの安宿ネパールの首都カトマンズ。街はとても首都とは思えない程小さい。建物は主に木とレンガで出来ており、中世の雰囲気を残している。 観光の名所であると同時にここはヒッピーの名所でもある。 俺は通称「フリーク・ストリート」と呼ばれる通りの、更に裏側の安宿に泊まっていた。 ここで言う「フリーク」とは麻薬所持者・中毒者の事を言う。 たかが100m歩くだけで20~30人の売人が声を掛けて来る、何ともイカした通りだ。 俺の宿は日本円で60円ほど。まあ、窓が閉まらなかったり冬でも掛け布団もなかったり、(これはアジアの安宿共通) 宿泊客がそれなりのヒッピーばかりで退屈はしない。 この安宿のいい所(?)は部屋の中で焚き火が出来るところ。 部屋の壁はジャンキーが書いたと思われるサイケデリックな落書きもしてある。 この宿で健康的に過ごせる奴はよほどのツワモノだ。 この俺さえもカゼをひいた。 外と同じ気温の部屋の中で、日本では禁止だがネパールでは薬局で売ってる超強力な薬を服用量を無視して飲み、 12時間熟睡したらカゼは治っていた。今思うとよく12時間で目覚めれたものだ。 その他この宿での3~4日はとてもこの雑誌には掲載できないほどヤバイので、ここではカットしておこう。 俺はネパールの奥地を求めてバスに乗った。何度かバスを乗り換えた。 何台目かのバスでは屋根の上の乗客にもなった。 俺のとなりではヤギがメェ~と鳴き、鶏がカゴの中で暴れる。 降りて歩いた方が速そうなトロトロバスの終点で宿を探した。 見つけた宿はトイレも水も電気もなかった。部屋のロウソクを吹き消すと窓からは満天の星が見えた。 朝、夜明け前から寒い外に出てみた。 ボロボロの毛布にくるまったヒッピー、ジョンも外にいた。 エベレストの横から出てくる太陽を見ながらジョンは「オー、ジーザス!」と涙を流した。 俺が日本の山によく出掛かけるのはあの時のジョンの涙の意味が判ったからだし、再び味わいたいからだろう。 |